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12 (526) ペリネイタルケア 2021 vol.40 no.6 わが国の新生児蘇生法(neonatal cardio­pulmonary resuscitation;NCPR)は、国際蘇生連絡委員会(International Liaison Committee On Resuscitation;ILCOR)が作成する国際ガイドラインに準拠したものである。ILCORでは、2019年、20年にそれぞれ2件1)、20件2)の課題が検討された。日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法委員会と日本蘇生協議会(Japan Resuscita­tion Council;JRC)では、システマティックレビューが行われた7つの課題についてわが国への適応とアルゴリズムの修正を検討し、その結果を2020年12月にオンライン版3)として公表した。2021年4月には、NCPR講習会テキストとして『日本版救急蘇生ガイドライン2020に基づく新生児蘇生法テキスト(第4版)』4)を刊行した。本稿では、NCPR2020での変更点について、アルゴリズムを含めて解説する。 新生児蘇生で最も重要なのは、人工呼吸・胸骨圧迫に進む「救命の流れ」である。この「救命の流れ」においては、遅延なき有効な人工呼吸が実践できる個人の技術に加え、チームパフォーマンスが重要であることから、ブリーフィングの重要性を明示した。また、小児科医が立ち会える体制で、有効な人工呼吸・胸骨圧迫で状態が改善しない場合は、可能な限り早期にアドレナリンを投与することとした。「安定化の流れ」では、努力呼吸またはチアノーゼがある場合に、直ちにCPAP(持続的気道陽圧)またはフリーフロー酸素投与を行うのではなく、SpO2モニタを装着した上で、病態に合わせた治療を選択し、その後に評価を行うとした。 ILCORのガイドライン2020では、2015年度版からの変更点はなかったが、NCPR2020では、はじめに改訂のコンセプトNCPRアルゴリズム2020での変更点《NCPR 2020&アルゴリズム解説編》3分でわかるNCPR 2020改訂のポイント自治医科大学附属さいたま医療センター周産期科新生児部門 教授 細野茂春ほその しげはる■安定化の流れ ■救命の流れ ■切れ目ない介入 ■チームパフォーマンス ■ブリーフィングKey Wordspecial edition特集01

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