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ペリネイタルケア 2021 vol.40 no.6 (527) 13NCPR講習会での現場の声を基に、以下の11カ所に変更を加えた。図に2020年度版NCPRアルゴリズムを示す。① 新生児蘇生法の本質である「救命の流れ」の強調② 出生前のステップとしての“ブリーフィング”の表記の追加③ 人工呼吸に引き続く胸骨圧迫時の“+酸素”の表記の追加④ アドレナリン投与を、優先順位から独立した表記に変更⑤ 努力呼吸またはチアノーゼの“共にあり”から“どちらかあり”とし、「安定化の流れ」に進むように変更⑥ 「安定化の流れ」では、最初の介入は直ちに行うのではなく、“SpO2モニタ装着し、必要時CPAPまたは酸素投与”に変更⑦ チアノーゼを“チアノーゼ(酸素化不良)”の表記に変更⑧ CPAPまたはフリーフロー酸素を投与した後、新たな評価基準として“改善傾向あり”を追加⑨ 介入後の評価で、努力呼吸とチアノーゼ(酸素化不良)に“改善傾向なし”の場合は、原因検索を行いながら“対応を検討”に変更⑩ 蘇生後のケアは“注意深く呼吸観察を継続”のみに変更⑪注釈ⓐ、ⓑの簡略化 NCPR2020では、新たな評価法および手技の導入はない。変更点として、「安定化の流れ」において、NCPR2015ではチアノーゼと努力呼吸が“共にあり”の場合に介入に進むとしていたが、NCPR2020ではチアノーゼと努力呼吸が“どちらかあり”の場合としたことと、“SpO2モニタ装着し、必要時CPAPまたは酸素投与”を行うとしたことがある。 皆さんもすぐに頭に浮かぶ通り、マスクとバッグによる“人工呼吸”が最も重要な手技である。NCPR2015までのアルゴリズムでは、蘇生の初期処置後の評価で左に行く「救命の流れ」と、右に行く「安定化の流れ」とに分岐していた。NCPR2020の「救命の流れ」では、ブリーフィングから薬物投与までの評価と介入を直線的に配置し、流れを強調した。すなわち、自発呼吸がないか、心拍が100回/分未満のときには、出生後60秒以内に人工呼吸を開始し、効果的な人工換気によって、新生児仮死から低酸素性虚血性脳症への流れを断ち切る必要がある。 ただし、適切な人工換気を約30秒間行っても心拍が60回/分未満の場合もある。この場合には、酸素を使用した人工呼吸と胸骨圧迫を1:3の比率で行い、反応が乏しい場合にはアドレナリンの投与となる。「救命の流れ」では、有効かつ切れ目のない介入が必要であることから、その流れに沿って反射的に動けるようにすることが求められる。一方、「安定化の流れ」では、最低限の酸素化は担保されているため、考えながら進むことが重要である。新しいアルゴリズムでどのように考え実践するか最も重要な新生児の手技は新生児蘇生法 図解でみえる手順とケアNCPRガイドライン2020知っておくべき改訂ポイントspecial edition特集

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