58Emer-Log 2021 春季増刊Ccr(クレアチニンクリアランス)基準値・病態識別値・パニック値 基準値:男性;90~120 mL/min、女性;80~110 mL/min 中等度低下:30~59 mL/min 高度低下:15~29 mL/min 末期腎不全:<15 mL/min検査でわかること Ccr(クレアチニンクリアランス)は単位時間あたりのCr(クレアチニン)濾過量を示す。直接的に糸球体濾過量を測定するため、Crよりも腎機能の評価を正確に行うことができる。適応と検査のタイミング 測定は24時間蓄尿後に行うため、腎機能障害を有する入院患者などに対して行われるのが一般的である。救急ではこう使う! 推定Ccr(後述)を算出し、腎機能の評価を行う。年齢、性別により調整されたeGFR(推算糸球体濾過量)により評価することも可能である。前値との比較を行い、急激な変化がなければ緊急性はないと判断できる。臨床的意義 Ccrは一定時間の尿量、尿中Cr排泄量と血清Cr値から評価されるが、以下のCコッククロフトockcroft‒Gゴールトaultの式より推測が可能である。 推定Ccr(mL/min)={(140-年齢)×体重(kg)}/{72×Cr(mg/dL)} (女性は×0.85)あわせて必要な他の検査 Cr、BUN(尿素窒素)、尿定性検査、尿沈渣、尿蛋白定量などをあわせて行う。異常を示す主な疾患 Cr値の異常をきたす疾患と同様の病態である(前項を参照)。検査値の解釈で注意すべきこと Ccrは、蓄尿期間中にCrが一定で推移することが前提となるため、急速に進行するような腎機能障害では測定値にばらつきが出てしまい、評価困難となる。
元のページ ../index.html#10