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94Emer-Log 2021 春季増刊CASE31歳、女性現病歴 数日前から頭痛・嘔気があり、近医受診し頭部CTを施行したが異常指摘はなかった。その後も症状改善なく、近医耳鼻科を受診するも原因はわからなかった。また経口摂取ができないため近医内科で補液を行った。頭痛・嘔気が増悪傾向のため救急要請し当院へ搬送となった。既往歴 / 内服薬 子宮内膜症、貧血。低用量ピル。バイタルサイン 意識清明、血圧105/71 mmHg、心拍数69回/min、SpO2 96%(room air)、呼吸数17回/min、体温37.1℃。身体所見 頭痛あり、嘔気あり、その他の神経学的異常所見なし、歩行可能。診断のプロセスと必要な検査原因検索のため、まずは頭部単純CTを撮像 頭痛患者が救急搬送された場合には、まず意識状態、神経症状、バイタルサイン【→Part 1—1】を確認します。意識障害や麻痺、痙攣などがある場合にはそれらへの対応と並行して、速やかに頭部単純CTを行います。意識清明で明らかな麻痺や痙攣がない場合には、その頭痛の特徴に関する詳細な問診と神経診察を行います。突然の頭痛、今までに経験したことのない頭痛、いつもと様子の違う頭痛、頻度と程度が増していく頭痛、神経所見の異常、精神症状、発熱、項部硬直、髄膜刺激徴候の有無に注意し、これらが一つでもあれば頭部単純CTを行います。検査結果とその解釈静脈洞血栓症を疑い血液検査を施行 頭部単純CTでは頭蓋内出血や明らかな脳梗塞は認めませんでしたが、右横静脈洞に高吸収域を認めました(図1)。頭痛・嘔気が続いていること、頭部単純CTでの右横静脈洞の高吸収域から、静脈洞血栓症を疑いました。そのため血算、生化学、Dダイマーを含んだ凝固頭痛岡島真里 埼玉石心会病院 腎臓内科 医長1

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