95Emer-Log 2021 春季増刊検査値ケーススタディ系の血液検査を行いました。 血液検査の結果は表1の通りで、貧血とDダイマーの上昇を認めました。 血液検査でのDダイマー高値も含め、さらに強く静脈洞血栓症を疑いました。なお、静脈洞血栓症に伴う梗塞巣などの評価のため頭部MRIを行いましたが、急性期脳梗塞は認めませんでした。その後、MR venography(MRV)(図2)とCT venography(CTV)を行い、右横静脈洞血栓症の診断に至りました。 静脈洞血栓症の症状は、頭蓋内圧亢進による症状(頭痛、嘔気、乳頭浮腫、複視)と局所脳障害による症状(片麻痺、失語、感覚障害、精神症状、痙攣)が挙げられます。頭蓋内圧亢進症状では、頭痛が最も多く認められる症状で約90%に存在するとされています1)。 頭部単純CTで横静脈洞の高吸収域はdense vein signと呼ばれ、横静脈洞の血栓を現すとされています。また、Dダイマーは陰性の場合でも静脈洞血栓症の否定はできませんが、陽図1 頭部単純CT右横静脈洞に高吸収域を認める()。表1 血液検査の結果WBC6,700/μLCr0.44 mg/dLHb9.9 g/dLNa139 mEq/LPLT33.5×104/μLK3.7 mEq/LTP8.2 g/dLCl103 mEq/LAlb3.5 g/dLCK55 U/LT‒Bil0.4 mg/dL血糖94 mg/dLAST17 U/LCRP1.88 mg/dLALT7 U/LPT‒INR1.07ALP202 U/LAPTT36.7秒γ‒GTP24 U/LFDP3.6μg/mLLDH139 U/LDダイマー1.2μg/mLBUN7 mg/dL
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