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検査値ディクショナリー57Emer-Log 2021 春季増刊Cr(クレアチニン)基準値・病態識別値・パニック値 基準値:男性;0.65~1.07 mg/dL、女性;0.46~0.79 mg/dL検査でわかること Cr(クレアチニン)は筋肉に含まれるクレアチンの代謝産物で、主として腎臓から排泄される。尿細管からの再吸収がほとんどないため、糸球体濾過能力の指標となる。適応と検査のタイミング 慢性腎臓病における経時的評価をするときや、急性腎障害を疑うときに検査を行う。また、腎機能に応じて調整が必要な薬剤を処方する場合や、造影CT、MRI検査を行う前に評価が必要となる。救急ではこう使う! 溢水による呼吸循環不全での薬剤の使用や効果の予測、脱水や出血時の輸液や輸血の検討、アシドーシスや高度な電解質異常を伴う場合、透析療法の適応を判断する。臨床的意義 Cr値は、糸球体濾過率が正常の50%以上では糸球体予備能で代償され低下しないが、糸球体濾過率が50%以下になると上昇し腎機能障害ありと判断される。糸球体濾過率が20~30%になると腎不全代償期に入り、Cr値はさらに上昇する。糸球体濾過率が5~10%以下になるとCr値は高値となり、尿毒症症状を呈する1)。あわせて必要な他の検査 腎疾患評価のためBUN(尿素窒素)、尿定性検査、尿沈渣をあわせて行う。異常を示す主な疾患 糸球体濾過量の低下(心不全、脱水、出血、糸球体腎炎など)、筋肉量の増加、ST合剤などの薬剤で上昇し、尿中Cr排泄量増加(尿崩症など)で低下する。検査値の解釈で注意すべきこと Cr値は筋肉量に左右されるので、糸球体濾過量が同程度でも、筋肉量の多い男性と高齢の女性、栄養不良患者では数値に差が出る。腎機能菊谷祥博 中通総合病院 救急総合診療部 診療部長6

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