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30(450)INFECTION CONTROL 2021 vol.30 no.5はじめに この春に入職された新人さんはコロナ禍のなか、満足な実習もできずに卒業し、医療の現場に立たされている方も少なくないだろう。本来であれば「期待半分、不安半分で、失敗と成功を繰り返しながら医療従事者として成長していく」のだと思われるが、コロナ禍においては不安要素の方が多いかもしれない。この特集を活用していただき、少しでも新人のみなさんの不安要素を取り除いてほしい。重要なのはウイルスを持ち込まないこと・拡げないこと 新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)の重症化のリスク因子は65歳以上の高齢者、悪性腫瘍、2型糖尿病、肥満(BMI30以上)、喫煙などで、加齢とともに致死率が上昇し、基礎疾患がない群に比べ、基礎疾患がある群の方が、致死率が高いことが日本でも報告されている1)。医療機関ではこれらの高リスク群が通院、入院しているため、一般の感染対策に比べ厳重な対策が求められる。病Withコロナ時代に入職するあなたへ特集1信州大学医学部附属病院 感染制御室 副室長 金井信一郎医療機関で感染拡大を防ぐための戦略は、「ウイルスを持ち込まないこと」と「拡げないこと」である。医療従事者が持ち込まないためには、日ごろから会食などの感染リスクの高い行動を避け、日々の体調管理を行い、体調不良がある場合には休むことが必要である。医療従事者間の感染拡大は休憩室や更衣室などで起こりやすい。特に食事や休憩の際には注意が必要である。確定患者や疑い患者に適切な防御が行われていれば感染は起こりにくいが、疑っていない患者から感染拡大は起こりやすいので、日々の標準予防策のレベルを上げることが重要である。身体的距離は離しても、人とのコミュニケーション、そして人とのつながりは大切にする。

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