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26(560)INFECTION CONTROL 2021 vol.30 no.6 新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)を引き起こすウイルス(SARS‒CoV‒2)の主要な感染経路は飛沫感染である。接触感染も起こり得るが、頻度は飛沫感染に比べて低いと考えられている。また、特定の条件下で空気を介して伝播することがある。各感染経路について、以下に解説する。飛沫感染 飛沫(droplet)の定義は定まっていないが、医療関連感染の領域では水分を含む粒子径5 μm以上の微粒子を指すことが多い。飛沫は呼吸、発声、咳やくしゃみの際に鼻や口から放出され、放物線を描くように正面に飛んだあと、重力によって地面に落下する。飛沫の大部分は発生源から1~2メートル以内に落下するといわれているが、声量や気流などの条件次第で、より遠くまで飛ぶこともある。感染者と向き合っている場合や、距離が近いほど、ウイルスを含む飛沫が目に入ったり、新型コロナウイルスの感染経路を理解する特集1聖路加国際病院 QIセンター感染管理室 マネジャー 坂本史衣新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)を引き起こすウイルス(SARS‒CoV‒2)の主要な感染経路は飛沫感染である。接触感染は起こり得るものの、頻度は飛沫感染に比べて低いと考えられている。また、特定の条件下で空気を介して伝播することがある。これまで発生したCOVID‒19クラスターの分析では、①互いに近い距離で15分以上の発声がある、②マスク着用などの飛沫感染を防ぐ手段を講じない、③換気が悪い場所に滞在するといった条件が複数重なったときに、主に飛沫、そして空気を介した感染が起こりやすいことが分かっている。これらの状況を回避することがSARS‒CoV‒2の感染経路を遮断し、COVID‒19の医療関連感染を防ぐことにつながる。COVID‒19  SARS‒CoV‒2  感染経路  飛沫感染  接触感染  空気感染

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