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血圧が形成されるメカニズムを知ろう 透析中は、除水により体液量がつねに変化し、血圧低下などの循環動態が不安定な状態が持続します。さらに、透析中の血圧低下は生命予後にも影響を与えると報告されています1)。私たちが日々の臨床現場で悩まされる血圧の低下を知るには、まず、血圧が形成されるメカニズムをひも解くことが重要です。そこで、今月号と来月号では、血圧低下を理解するうえで重要となる「心拍出量」に焦点を当て、モニタリングの意義などを中心に解説します。心拍出量とは 心臓は、1日約10万回の拍動をくり返すことで、全身に血液を循環させています。心臓から1分間に送り出される血液量のことを心拍出量といいます。また、心拍出量は、1回拍出量と心拍数の積で求めることができます。一般的な成人の1回拍出量は約60~80mLとされているため、1分間の心拍数が70回の場合、心拍出量は4,200~5,600mL/minとなります。心拍出量(mL/min)=1回拍出量(mL)×心拍数(回/min)心拍出量の変化 心拍出量は、年齢、体格、運動時、心疾患の有無などさまざまな要因により変化します。また、計算式からもわかるように1回拍出量と心拍数が変わることで心拍出量も変動します。しかし、心拍出量は、①心拍数と、1回拍出量の決定因子である②前負荷、③後負荷、④心収縮力の4つの要素で規定され、さまざまな要素がどこを見る?何がわかる?〜透析室で行われる各種モニタリングを紹介します〜第10回心拍出量モニタリングの意義を理解しよう①岡本裕美 おかもと・ひろみ東邦大学医療センター大橋病院臨床工学部副技師長82 (578) 透析ケア 2021 vol.27 no.6

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