130102106
9/12

て換気しながら運行することとしました。⑥万が一、COVID—19疑いの患者を当院で透析しなければならないことを想定し、送迎と当院の設備保守点検を依頼している会社に、COVID—19疑いの患者が出た場合、個人防護具(personal protective equipment;PPE)をしてCOVID—19疑いの患者を送迎してもらえるかどうかを打診したところ、ありがたいことに社長さん自身が行ってくれることになりました(運転手は高齢者が多いため)。そしてPPEの手技を含めた感染対策を指導しました。 2020年4月3日、日本透析医会からの『新型コロナウイルス感染症に対する透析施設での対応について(第4報改訂版)~まん延期における透析施設での具体的な感染対策~』5)が発表されました。これに従い、密集を避けるための対策として、①院内で着替えなくてよい服装で自宅から来院してもらい、患者更衣室の使用を最低限にしました。また、②患者待合室での密集を避けるよう、各患者が距離をとっていすに座るよう促し、さらに③院内での食事は中止としました。それから、④呼吸器症状がない状態(平時)の患者の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定・把握しました。そのほか、⑤患者の接触回数の多い手すりや体重計、更衣室、トイレの消毒回数を増やしました。このとき、とくに重点を置いたのは、いままで指導した手洗いやマスク装着が正しくできているか、自宅での検温ができているかといった基本的なことを何度も確認し、できていない場合はそのつど指導したことです。再三指導することで、マスクや手洗いは正しくできるようになりました。しかし待合室での患者同士の距離が近く、注意しても改善がみられなかったので、強制的にいすの数を減らし、理想的な2mとまではいきませんでしたが、座ったときに1m30cmくらいの間隔が空くようにしました。2.隔離透析 当院の隔離透析は、個人用透析装置1台を設置した3階個室透析室の1床と、2階大部屋透析室にカーテンで空間隔離をした1床の計2床で行っています。患者の状態により、あきらかな呼吸器症状があるときやポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction;PCR)検査中の患者は3階の個室透析とし、発熱があっても原因があきらかで、COVID—19の感染が除外されているときは、カーテン隔離で透析を行うことを原則としました。個室で隔離透析をする場合は、疑似陽性者として扱い、来院時間をずらしてほかの患者と動線を分け、スタッフはPPEを装着した状態で透析をしました。3.外来通院維持血液透析患者1例にCOVID—19が発症した事例 2020年4月下旬に発熱患者が発生しました。主訴は37.4度の発熱と頭痛、食欲不振でした。呼吸器症状はありませんでしたが胸部コンピュータ断層撮影(computed tomography;CT)と血液検査を施行し、本来、個室透析とすべきでしたが、カーテン隔離での透析が開始されました。その後、胸部CTと血液検査の結果にてC反応性蛋白(C—reactive protein;CRP)軽度上昇と肺炎像を確認したので基幹病院へ連Special Edition緊急企画! 新型コロナウイルス感染症~透析室の現状・感染時の対応・予防方法を知ろう!~透析ケア 2021 vol.27 no.6 (523) 27

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る