38 透析ケア 2021 夏季増刊進行的な腎機能の低下を認める際に、医師や看護師などの多職種が、療法選択外来などを通じて、血液透析・腹膜透析・腎移植について十分な情報提供を行ったうえで医療者と患者本人、患者家族が決定します。腎代替療法の提案は余裕をもった適切なタイミングで行う 慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)ステージG5の末期腎不全の状態となり、尿毒症症状が出現すると、保存的治療では管理困難となり、何らかの腎代替療法が必要となります。わが国の『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018』1)ではCKDステージG3b~5、『CKDステージG3b~5診療ガイドライン2017(2015追補版)』2)ではCKDステージG4すなわち推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate;eGFR)15~30mL/min/1.73m2の状態に至った時点で、患者本人と家族に対して腎代替療法に関する情報提供を行うことが推奨されています。 また、腎代替療法の選択は、患者のライフスタイルに大きな影響を及ぼします。正しい情報をもとに患者自身でゆっくり考えたり、家族と相談したりする十分な時間がとれないと、最良の選択ができない可能性があります。そのため、十分に余裕をもった適切なタイミングで腎代替療法を提案することが重要です。療法選択外来:患者が最良の選択ができるよう情報提供を行う 医師、看護師、臨床工学技士、医療ソーシャルワーカーなどの複数の職種が腎代替療法について情報提供を行います。腎代替療法は、どれを選択しても医師のみではなく、多職種とのかかわり合いが多いのが特徴です。できるだけ実際のイメージを掴んでもらい、最良の選択をしてもらうためにも、患者本人・家族などへ、多職種によるさまざまな側面からの適切な情報提供を行うことが重要です。SDM:共同意思決定で最適な治療を選択し決定する シェアードデシジョンメイキング(shared decision making;SDM)とは、医療者が患者に対して十分な情報提供を行い、反対に患者からも自身の考えや希望を伝えることで、さまざまな情報を相互に共有し合う、より最血液透析・腹膜透析・腎移植のうち、患者に適した腎代替療法はいつ・誰が・どのようにして決めるの?1010
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