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98 透析ケア 2021 夏季増刊バスキュラーアクセス(VA)とは、血液透析を行うために患者の血液を身体から脱血し、返血するためのルートのことです。シャント(短絡という意味)といわれていますが、動脈表在化や透析用カテーテルなどもあり、“VA”という言葉で総称されるようになりました。VAでもっとも多く用いられているのは自己血管内シャントVAの種類 バスキュラーアクセス(vascular access;VA)はシャントと非シャントに分けられ、シャントとは静脈と動脈を外科的に吻合したもので、ほとんどが内シャントです。内シャントには自己血管を用いる自己血管内シャント(arteriovenous stula;AVF)と人工血管を用いる人工血管内シャント(arteriovenous graft;AVG)があります。非シャントには動脈表在化と透析用カテーテルがあります(表)。2017年末の透析医学会の調査では、AVF 89.0%、AVG 7.3%、動脈表在化1.8%、透析用カテーテル1.7%でした1)。自己血管内シャント AVFは通常、前腕の手首(第1指側)で動脈と静脈を吻合し、前腕もしくは上腕の皮静脈へ血流を流します。シャント造設の術後2週間くらいで静脈が発達してくるので、これに穿刺して脱血し、中枢側に返血して血液透析(hemodialtration;HD)を行います。これがVAの基本です。人工血管内シャント 自己静脈の荒廃や適切な皮下静脈がない場合をはじめ、AVFの作製が困難な場合に、肘部周辺の静脈と動脈を人工血管(グラフト)でつなげるのがAVGです。人工血管は通常、5〜6mm径のものが使用されます。AVGはAVFに比べ血流量が増加するために心負荷がかかり、心機能が低下している患者への造設は避けなければなりません。血管石灰化が著しい動脈では、スチール症候群を起こすリスクもあるため注意が必要です。また、人工物バスキュラーアクセスって何? どのような種類があるの?3333シャント◦自己血管内シャント(AVF)◦人工血管内シャント(AVG)非シャント◦動脈表在化(上腕動脈、大腿動脈) ※返血静脈が必要◦透析カテーテル  長期留置カテーテル  短期留置カテーテル表 バスキュラーアクセスの種類

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