透析ケア 2021 夏季増刊 13原尿を受け止めるボウマン囊という袋、そして尿細管のことをいいます(図)1)。ネフロンは、腎臓1個あたり約100万個、左右の腎臓を合わせると約200万個存在します。原尿からつくられる1%の尿 原尿は、ボウマン囊から近位尿細管を経て遠位尿細管という細い管を流れていくあいだに、身体にとって必要な食塩や蛋白質などの物質を選び出し、その約99%が再吸収されます。最終的に残りの1%が、不要な老廃物をたくさん含んだ尿として体外へ排泄されます。 このように、腎臓がわれわれの身体を一定の状態に保とう(恒常性の維持)として機能した結果が、尿の色や量、物質に反映されています。そのため、尿検査によって全身の状態を知ることができます。 夏場の暑いときに、外で一滴も水分を摂取できない場合でも尿は排泄されます。ここまで勉強した人なら、なぜだかわかりますね。老廃物や毒素を捨てるためには、尿がまったく出ないと困るからです。しかし、水分が不足している状態にあることから水分を体内に保とうとする機能がはたらいて、老廃物や毒素を捨てるために必要な最低限の水だけを出し、生命の危機から身体を守ります(濃縮尿)。尿はただの水ではないということを、しっかりと理解しましょう。ネフロン腎臓糸球体輸出細動脈輸入細動脈腎盂尿管ボウマン囊(糸球体+ボウマン囊+尿細管)原尿尿細管尿(腎盂へ)図 腎臓の一連の機能の最小単位:ネフロン(文献1より作成)第1章 腎臓のはたらきと透析患者のからだ
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