NPPVが一般的になり20年近く経ち、今やNPPVは呼吸療法を行う上でなくてはならない存在となりました。その中でNPPVは装置の進化だけではなくNPPVマスクも大きく進化を続けています。むしろ本体の進化よりもかなり早いスピードでトレンドも変わりつつあります。 ではNPPVマスクがNPPV療法に占める重要性はどの程度でしょうか? 1〜2割くらい? やっぱりモードの方が大事でしょうか? 私はNPPV療法におけるNPPVマスクの重要性は8〜9割だと思っています。 NPPVの最初期でガイドラインどころか本すらほとんど販売されていない時期に私はNPPVを使い始めましたが、とにかく空気は漏れてアンダーセンスにファイティングなんて当たり前、マスクから漏れる空気の音が常にブーブー鳴っていました。導入の成功率も低く、患者さんも苦しいばっかりで正直まったくうまくいきませんでした。でもNPPVマスクを厳選し、フィッティングに工夫に工夫を重ね、技術を磨くことで徐々にうまく装着できるようになると、導入成功率は一気に急上昇しました。結論から述べると、どんなにすばらしいNPPV機器を持ってきて最適なモードを最適な設定で装着したとしても、マスクフィッティングがうまく行かなければ正しく動作しないので患者の苦痛は増すばかりだったということでした。 NPPVマスクは日進月歩で進化しています。素材から形状、ヘッドギアまで新しい工夫がたくさん施されています。私見だらけの本書ですが、きっとマスクを選ぶときの一助となると思います。神戸市立医療センター中央市民病院臨床工学技術部 呼吸治療専門臨床工学技士石橋一馬はじめに
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