3監修にあたって 現在,未知なる感染による未曽有の事態で,医療教育の現場の常識も揺らいでいます.これまでの日常風景だった手術見学などの対面指導も,今は簡単には叶いません.そんな中でどのように手術手技を学べばいいのでしょうか.実際,医療の進歩はとどまることを知らず,個人のスキルアップの必要性はパンデミック前と変わることはありません.それどころか,眼瞼周辺の治療で言えば,これからより一層技術力を求められるのではないでしょうか.それは,マスクが常識となった今,覆われていない目の顔における重要性が大きく高まっているからです.眼瞼周辺の治療のニーズは増えるだけでなく多様化していく中,正しい知識で高い技術力を持った医師を育てるのは急務であります.それを対面指導なしで成し遂げる方法はあるのでしょうか. 本書『眼科スゴ技 眼瞼手術』は,こんな時勢に必要不可欠な書籍であると自負しています.今回は,すぐにでも必要で使える手術手技をその道のスペシャリストの先生方が微に入り細に入り解説してくださいました.また本シリーズの「『視る』からはじまる眼科臨床専門誌」のコンセプトは,まさに現在の学びのスタイルに合っていると言えます.本書を開けば,まるでそこに直接の手技を見ているかのように数多くの図表が並び,コマ送りのように手技を追えるのが最大の魅力です.手術手技の画像を自分の眼で見て,間違いようのない情報を習得できる構成になっているのです.また解説は病名ごとに章立てされ,それぞれのロジックやアプローチ法,治療法を項目に分け,それぞれ違う先生が執筆くださっているため,違った視点から考え方を学ぶことができるのも魅力かと思います. これからの常識は誰にも分からないとは言え,確実に分かっていることは,高いスキルはどんな時でも需要があるということではないでしょうか.本書が眼瞼手術の高い技術力を持つ術者を育てる大きなツールとなってくれることを切に願います. 最後に共に監修に携わってくださいました村上正洋先生,メディカ出版の池田信孝氏に感謝いたします.2021年4月井上眼科病院野田実香
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