nursingraphicus2021
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99サンプルページアニメーション・動画14本収録!地域療養を支えるケア在宅看護論 ❶(3)多職種連携・地域連携●多職種連携● 病院ではさまざまな職種が専門性に基づいて役割を発揮し,患者の治療・療養を支えている.このように,異なる専門職が患者・家族の情報や関わりの方向性およびゴールを共有しながら協力して関わっていくことを多職種連携という.多職種連携を実践することで,患者・家族に提供する情報の幅を広げ,ケアの質を高めることができる. 病院であれば,情報共有やケアを行う時間などを一元的に管理することは可能である.関わる多職種が同じシステムやツールを活用することで同時に多くの情報を共有し,他の職種との関わりを把握することも容易となり,他領域・多職種での連携は図りやすい. 一方,在宅療養を支援していく場合では,対象となる患者・家族の生活環境・習慣・図3.2-3●継続看護外来(入院前)困りごと,不安患者外来看護師・自宅での生活環境・状況の情報収集とケア状況のアセスメント・疾患や治療に対する認識の確認・利用しているサービスや支援に関する情報収集・患者の表情・言動や付き添いの家族からの情報で患者の生活や家族との関係も含めた患者の全体像をアセスメントする.・それを踏まえて,現時点で何らかの地域連携や外的支援の介入の必要性や地域連携の必要性の判断,入院や今後の治療に関する情報提供を行う.在宅(退院後)在宅での安心感と緊急時への不安患者訪問看護師など退院時に関わる看護師・退院時の状況を受けて,関わる看護師による継続的なケアの提供・入院していた病院での退院指導や調整に関するフィードバック・サービスやケアの過不足への微調整・状況に応じて,退院直後から病院からケアを引き継いだ看護師による支援を開始する.・外来通院する場合は,患者家族の在宅療養・支援体制・サービスに対する受容状況を確認する.・病棟看護師へのフィードバックを行う.病棟(入院中)・退院後フォローする医療機関での受診の日程調整,退院後に関わる看護師(外来,訪問看護,施設や他の医療機関)との連携を行う.退院支援看護師病棟看護師・退院時の状況の全体像のアセスメントと患者家族へのイメージ化・患者家族の意向に沿うサービスや情報の提示と意思決定支援,地域へのケアの引継ぎ・退院後の身体状況と継続する医療処置・ケアの簡易化・疾患や治療に対する認識の確認身体的苦痛,環境の変化に伴う不快,先々への不安…患者833地域包括ケアシステムにおける在宅看護000-000_第3章.indd 8318/09/26 18:03※視聴方法は16ページをご覧くださいp.83かざして見る!神障害者:精神疾患/壮年期のALS療養者:難病第9章●在宅看護の動向と今後の発展在宅看護の先駆的取り組み/コラム:ビュートゾルフに同行訪問・ジェネラリストによる臨機応変のトータルケア(オランダ)/コラム:在宅看護に同行訪問・ディアコニー・ソーシャルステーション・フランクフルト市(ドイツ)/コラム:地域に拡がる看護の役割—暮らしの保健室からマギーズ東京へ(日本)/これからの在宅看護の発展に向けて訪問看護師の一日8:459:159:3010:3011:3012:3013:1514:0015:0016:3017:30出 勤出 発帰 社帰 社勤務終了昼 食・メールやファクス,本日のスケジュールの確認・訪問予定のお宅のカルテ確認,情報収集・変化のあった利用者の状況報告・連絡事項およびスケジュールの共有・利用者に合わせた必要物品を整える・管理者および関連機関へ業務報告・一日のケアの記録・物品片付け・申し送り・ステーションに戻って昼食・午前中のケアを記録・関連機関への連絡と調整・独居の90歳女性.全身の観察とリハビリテーションを実施.・ALSの利用者宅人工呼吸器のメンテナンスと呼吸のケアを実施.ヘルパーさんと一緒に全身清拭と洗髪.・ご主人が高血圧,在宅酸素療法実施中.最近足腰が弱ってきたので,訪問看護の開始をご希望.ケアマネジャー同行の上,契約(契約書に署名捺印済み).・統合失調症の療養者服薬状態と生活の様子をうかがう.訪問ルート上の利用者宅を急きょ訪問.風邪気味だったため,主治医に連絡.往診手配済み.ミーティング訪問準備1件目の訪問2件目の訪問3件目の訪問4件目の訪問5件目の訪問ステーションからTELあり時 間主な予定内 容191わかりやすい図表でイメージがつかめる事例 Aさん,81歳,男性.3年前にパーキンソン病と診断され,すくみ足,小刻み歩行,軽い振戦があるため,服薬にて経過を観察中である.現在,訪問看護サービスを利用している. 妻(79歳,無職)との二人暮らし.子どもはおらず,近隣に近親者はいない.妻は関節リウマチを患っており,介護保険で要支援1の認定を受けている. 自宅は,急峻な坂を上った高台にある2階建ての戸建て(持ち家).古い木造住宅で,玄関ポーチや,家屋内にも段差が多い.廊下は狭く薄暗い上,手すりは取り付けられておらず,浴室の浴槽はまたぎが高い.寝具は,訪問看護師からたびたび介護用ベッドを勧められているが,「落ち着かない」と,夫婦ともに和式布団を使用している.状況 Aさんは自宅内で角を曲がり切れずに転倒した際,大腿骨頸部を骨折し,人工骨頭置換術を受けた.2カ月間の入院後,自宅療養のため退院したばかりである.●身体状況 認知症はない.Aさんの座位姿勢に問題はなく,起居も可能であるが,床や低い椅子からの立ち上がりは介助がないと難しい.歩き出しに時間がかかる(すくみ足)が,つかまるものがあればゆっくりと歩行できる.排泄は,洋式便器であれば介助の必要はないが,現在のAさんの状態では,段差の多い自宅環境,特に手すりのない薄暗い廊下での転倒・転落のリスクが高い.また,浴室の浴槽がまたげないため,入浴にも介助が必要である.●社会資源 入院中に要介護認定を申請し,要介護3の認定を受けた.在宅におけるAさんのADL・IADLを評価し,ケアプランに反映したい.ADL・IADLを評価するツールを調べ,その用い方を説明しなさい.ヒント障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)状況 退院から2週間が経過した.妻は献身的に介護している.妻の関節リウマチの症状は安定しているが,慢性的に痛みがあると言う. 妻にAさんの生活状況を確認すると「1日中,トイレの世話をしている感じです.特に夜中,必ず1回はトイレに連れて行くのですが,それですっかり目が覚めてしまうので,毎日寝不足気味」「これからの季節,寒さが厳しくなるので夜中のトイレは嫌ね」と話す.Aさんの介護者に対するケアを検討しなさい.ヒント介護力のアセスメント,介護負担の軽減【発展課題】・Aさんの状況を踏まえ,住宅改修案を検討しなさい. 1老々介護であるパーキンソン病療養者:ADLの低下・再発予防12Q1.Q2.●住宅改修の一例〈動画〉コンテンツが見られます(p.2参照)2378対象に応じた在宅看護〈事例〉000-000_8章.indd 23718/09/26 9:34事例学習で臨床実践能力を養い設問で知識の定着を図る

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