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サンプルページアニメーション・動画※視聴方法は16ページをご覧ください呼吸器E‌X疾患と看護 ❶11114本収録!ピークフロー値測定/酸素飽和度検査/喀痰検査/胸部単純X線検査/胸部CT検査/肺シンチグラフィ/動脈血ガス分析/胸水穿刺/経皮的肺生検/気管支鏡検査/睡眠時呼吸モニタリング(ポリソムノグラフィ/簡易検査)第4章●呼吸器疾患の主な治療・処置と看護酸素療法/人工呼吸療法/薬物療法/胸腔ドレナージ/手術療法/肺移植第2部 呼吸器の疾患と看護第5章●呼吸不全呼吸不全/急性呼吸不全/慢性呼吸不全第6章●酸素化障害肺水腫/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)/無気肺第7章●換気障害慢性閉塞性肺疾患(COPD)/間質性肺疾患/放射線肺炎/薬剤性肺炎/膠原病による間質性肺炎などの合併/特発性間質性肺炎(IIP)/睡眠時無呼吸症候群(SAS)第8章●肺循環障害肺高血圧症(PH)/肺血栓塞栓症(PTE)第9章●呼吸器感染症かぜ症候群(急性上気道感染症)/インフルエンザ/細菌性肺炎/肺炎/市中肺炎(CAP)/院内肺炎(HAP)/医療・介護関連肺炎(NHCAP)/ウイルス性肺炎/肺真菌症/抗酸菌症/肺結核/非結核性抗酸菌症(NTM)第10章●肺癌肺癌/小細胞肺癌/非小細胞肺癌/転移性肺腫瘍第11章●免疫・アレルギー性肺疾患気管支喘息/好酸球性肺炎/過敏性肺炎第12章●胸膜・縦隔疾患胸膜炎/気胸/血胸/胸膜中皮腫/縦隔腫瘍/縦隔気腫/胸腺腫/胸腺癌第13章●その他の肺疾患胸部外傷/じん肺/珪肺/石綿肺/気管支拡張症/サルコイドーシス第3部 呼吸リハビリテーション第14章●呼吸リハビリテーションと患者支援呼吸リハビリテーション/実践プログラム/患者教育/禁煙指導/アドバンス・ケア・プランニング(ACP)第4部 事例で学ぶ呼吸器疾患患者の看護第15章●肺切除術を受ける患者の看護アセスメントの視点/看護目標,看護計画/看護の実際/看護の評価/事例を振り返って/設問第16章●COPD患者の急性増悪から在宅療養に向けた看護アセスメントの視点/急性期における患者の問題,看護目標,看護計画/急性期の看護の実際と評価/回復期における患者の問題,看護目標,看護計画/在宅への移行に向けた看護の実際と評価/事例を振り返って/設問換気障害7換気障害とは拡散による細胞壁を介したガス交換が障害され,二酸化炭素をうまく体外に排出できなくなり,酸素を体内に取り込めなくなる(空気の吸入・呼出が妨げられる)病態.閉塞性換気障害拘束性換気障害息を吸うのはスムーズ肺の弾力がなくなる(肺が縮まない)息を吐くのはスムーズ混合性換気障害閉塞閉塞肺が広がりにくい肺が広がりにくい息を吐けない!息を吸えない!気道が閉塞して空気が通りにくくなっている状態.●慢性閉塞性肺疾患(COPD)●びまん性汎細気管支炎●リンパ脈管筋腫症(LAM) など●肺線維症●間質性肺炎●無気肺 など何らかの原因で肺が広がらない状態.閉塞性・拘束性換気障害が進行し,ともに存在している状態.換気障害の分類吸気・呼気に伴う肺気量の変化は,スパイロメトリーで測定できる.%肺活量(%VC)=実測肺活量÷予測肺活量(基準値)×1001秒率(FEV1%)=1秒量(FEV1)÷努力肺活量(FVC)×100%肺活量が80%未満で拘束性換気障害,1秒率が70%で閉塞性換気障害があるといえる.70100(%)100(%)080拘束性換気障害正常混合性換気障害閉塞性と拘束性の換気障害が混在閉塞性換気障害%肺活量(%VC)1秒率(FE %)V11302019/10/2 三校p.272呼吸リハビリテーションと患者支援14呼吸リハビリテーション11呼吸リハビリテーションとは1定義・目的・効果 呼吸リハビリテーションとは,病気や外傷によって呼吸器に障害が生じた患者に対して,可能な限り機能を回復,あるいは維持することで,症状を改善し,患者が自立した日常や社会生活を送れるように継続的に支援する医療である. 「呼吸リハビリテーションに関するステートメント」によると,呼吸リハビリテーションは,「呼吸器に関連した病気を持つ患者が,可能な限り疾患の進行を予防あるいは健康状態を回復・維持するため,医療者と協働的なパ-トナーシップのもとに疾患を自身で管理して,自立できるよう生涯にわたり継続して支援していくための個別化された包括的介入である」と定義されている1). 呼吸リハビリテーションの目的は,呼吸困難の軽減と運動耐容能の改善,不安や抑うつを軽減し,健康関連QOLや健康状態を向上させることである.すでに薬物療法により症状が軽減している患者においても,上乗せの改善効果を得ることができる.ただし,得られた改善効果は薬物療法などと同様,中断により失われてしまうことも明らかで,継続への指導が重要である.長期的な目標は効果の維持に加え,入院回数・日数の減少や生存期間の延長であり,多職種が関わる包括的なプログラムでこれらの長期の効果が得られると期待されている2).2呼吸リハビリテーションの歴史 歴史をひも解くと,呼吸リハビリテーションは1781年にTissot, J.C. による呼吸練習の報告から始まり,1940~1950年代には体位排痰法,口すぼめ呼吸,腹式呼吸,歩行時の酸素療法が試みられている.1993年に米国心血管・呼吸リハビリテーション協会(AACVPR)から,初めてのガイドラインが出され,1997年に米国胸部医師学会(ACCP)とAACVPR共同で,エビデンスに基づく初めてのガイドラインを出版した.それ以降,多くの研究が重ねられ,呼吸リハビリテーションはリハビリテーションの分野としてはエビデンスの確立が進んだ分野となっている.3包括的呼吸リハビリテーション 現代の呼吸リハビリテーションは,患者およびその家族に対して,多次元的医療サービスを,多くの職域にわたる専門家チームの協力,すなわち学際的医2722019/10/02 三校p.1317換気障害慢性閉塞性肺疾患(COPD)1chronic obstructive pulmonary disease1慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは1病態 慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は,たばこ煙を主とする有害物質を長期にわたって吸入することで,慢性的に肺胞が炎症して肺胞が気腫化*する,肺の炎症性疾患である(図7-1).呼吸機能検査で非可逆性の気道閉塞を示す,進行性の疾患である. 長期間の喫煙が唯一明確なCOPDの原因であり,ヘビースモーカー*の10~15%が将来COPDを発症するとされる.具体的には,1日の喫煙本数/20本×年数が20を超えると,19%でCOPDを発症する1).長期的で大量の喫煙がリスク因子となるため,喫煙者の高齢男性に多く認める.WHOのファクトシートによると,COPDは2016年における世界の死因の第3位だった2).2症状 慢性の咳,痰,労作時呼吸困難がみられるが,病初期は無症状のことも多い.肺の慢性的な炎症によって痰が形成され,痰の気道に対する刺激で咳嗽が出現する.肺の気腫化により酸素を取り込む力が落ちるため,労作時の酸素需要の増大に対応できず,労作時呼吸困難が生じる.胸部X線検査などの画像検査や血液検査,呼吸機能検査で大きく異常を認めなくても,本人の症状が強い場合もあり,本人の呼吸困難の程度の評価が重要である.呼吸困難の程度の評気腫化肺胞の細胞が壊れて弾力性がなくなった状態.肺機能が低下して換気量が少なくなり,息切れや低酸素血症などを招く.喫煙が原因の一つ.ヘビースモーカーたばこをたくさん吸う人のこと.禁煙治療では,35歳以上で1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上であることが保険適用の要件となっている.*図7-1■COPDの発生機序正常COPDCOPDの発生たばこ煙や排気ガスなど有害物質の吸入・曝露気管支の炎症末梢気道病変により気道壁が肥厚し,気道が狭窄する.分泌物が貯留する細胞壁が破壊され,肺弾力性が低下して,呼気がしにくくなる●慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病態生理〈アニメーション〉1312019/10/2 三校呼吸器をイメージしながら学べる呼吸リハビリテーションを丁寧に解説

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