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役立つ資料やツールをご提供!メディカ出版教員向けEssay大学・学部としてのこれまでの新型コロナウイルス対策と措置 元号が令和になって初めての春は、すべての人が、どの生活シーンにおいても新型コロナウイルスに翻弄された記憶ばかりかと思います。全国の看護学校と同様に、大手前大学でも今年の春は総合入学式やその代替案、予定されていた講座・授業もすべて中止にせざるを得ませんでした。 国際看護学部看護学科では、4月初めに実施されたガイダンス等での必要最低限の登校後は、全学生には休講と校内立入禁止を通達、教職員は原則として在宅勤務による対応を進めて、事務取り扱いは停止する措置を講じました。その後、5月7日からは「非対面」授業を開始し、さらに緊急事態宣言の関西(大阪・京都・兵庫)解除や全国での解除を受けて、5月28日からは「対面」授業の開始へと移行していきました。 これまで多くの学生と関わってきた中で、幾度か学生が涙する場面に遭遇した。感動や喜びの涙、悲しみや悔し涙、時には怒りの涙など、学生が見せる涙にもいろいろな意味がある。 そうした中で強く印象に残っているのは、4年生の総合実習最終日に受け持ち患児とご家族へのご挨拶を済ませ、ナースステーションに戻ってきた男子学生Aさんの目から溢れ出て、止まらなくなった涙である。 普段はクールな印象の強かったAさんが、手放しで泣く姿に、私も実習グループの他の学生も驚きを隠せなかった。Aさんが受け持った8カ月の乳児は、持続牽引中で、動きたくて身体をひねったり、ぐずったりすることが多く、付き添いの若い母親は、効果的な牽引ができない不安と患児への不憫な思いを抱えていた。Aさんは、母親をサポートしながら患児の気を紛らわすおもちゃを手作りするなど熱心に関わり、最終日には、患児や母親が見せた笑顔への安堵や喜びとこれからも続く治療の大変さ、そして自分なりに頑張ったという思いとまだまだという思いなど、さまざまな思いや感情が一気にこみあげてきたのだと言う。その後、Aさんは、ケースレポートを通してしっかりと実習体験を振り返り、卒業研究や就職活動へと前のめりに突き進んでいった。 私は、常々看護職を目指す学生には、実習を通して対象としっかり向き合い、感情を揺り動かされる体験をしてほしいと願っている。看護への強い動機付けになると考えるからである。そして、私自身も学生の感情の動きや体験をしっかりと受け止め、共有し、支えられる存在でありたいと思う。■発行          ラポール制作室 〒532-8588 大阪市淀川区宮原3-4-30 ニッセイ新大阪ビル16F TEL. 06-6398-5039 FAX. 06-6398-5081■URL https://www.medica.co.jp/ ■MAIL rapport-koe@medica.co.jp ⬅ ご意見・ご感想をお寄せください!■「ラポールWEB」オープン! URL https://www.medica.co.jp/topcontents/rapport/ご回覧くださいP6P1─ 学生の涙 ─宮城大学 看護学群看護学類 武田 淳子No.4No.4 筆者はよく看護職対象の研修で、「もしも友達と約束して、その時間に友達が来なかったらどう思いますか」と質問してみます。すると「心配になります」「怒ります」「嫌われちゃったかなと思う」「そのうち来るんじゃないかと思う」と答えはいろいろです。 このように、ある状況が同じであっても、人によって反応や湧き出る感情は違います。それは、その人それぞれに捉え方(認知)が異なるからです。その捉え方はしばしば「思い込み」となり、思い込みにとらわれると、私たちはつらい思いをします。 もし、ある状況について、あまりにも辛すぎたら、これは自分独自の考え方や捉え方ではないか、他の捉え方の可能性がないかと考える必要があります。このようにしなやかな考え方ができれば、少し気持ちが軽くなります。 「ポジティブ心理学」というと、よく「ポジティブシンキング」と混同されることがありますが、全く違います。「ポジティブシンキング」は、ひたすら物事をポジティブに考えることです。最近は何でもポジティブに考えることがよしとされる傾向にあります。はたしてそうでしょうか。ひたすらポジティブであることは、無理があります。私たちは人間である以上、気分が落ち込むときもあるし、ネガティブな感情が湧きおこることもあります。でも、ネガティブな感情もすべて必要な感情なのです。私たちはそのネガティブな感情があるから危険を予知して生き延びることができるし、エラーを防止して日ごろの仕事を行えるのです。 さらに私たち看護職は、悩んでいる人、苦しんでいる人と対峙します。そんな時はその人の悩み苦しみ、つらさに寄り添うことが必要です。100%ポジティブでいることは看護職である以上、人間である以上ありえません。だからネガティブな感情も否定せず、無理にポジティブに変換しようとせず、そのまま受け止めることが大切です。 自分の考え方のクセをわかりつつ、無理にポジティブであろうとせずに、ネガティブな感情ともどもありのままを受け止める、そういう考え方ができたら、きっともう少し楽に生きていけると思います。『ラポール』とは「心が通い合っている、信じ合う関係」という意味があります。本誌より看護教育に関する様々な知見・情報・感動を発信させていただき、看護教育に携わる先生方とより良く、より強くつながっていきたいと願っております。末永くご愛読のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。創刊にあたって次号は2020年10月末発行予定です次号のお知らせ学生が笑顔になるPositive心理学看護師になる夢に向かってまっしぐら、でも時にくじけることも。そんな学生に寄り添い、一緒にがんばりたいと、日々奮闘される先生方にぜひ役立ててほしい「心理学のチカラ」をお話しいただきます。東京医療保健大学 医療保健学部秋山 美紀Profile学部長鈴井 江三子 先生思い込みにとらわれずに、ありのままを受け止めよう。もともと落ち込みやすく生きづらさを感じてましたが、ポジティブ心理学との出会いで救われました。私のように悩んでいる人に寄り添って、なんとか日々の小さな喜びを共に見つけていこうと研究しています。ポジティブ4No.TOPICS拡大版2020年7月31日発行“未来の多様な現場の要になる、グローバル人材としての看護師を育てる”=グローバルナーシングを掲げて2019年に設置された、大手前大学の国際看護学部看護学科。今年、同学科でも新型コロナウイルス対策を講じながら、2年生80名・1年生80名、計160名への看護教育・授業を「非対面」あるいは「対面」で実施されています。今回、授業の様子を実際に見せていただき、また、これまでの取り組みについて先生・学生のみなさまにお話をお聞きしました。世界・日本での新型コロナウイルス関連のおもな動きメディカ出版ではWEBサイトを通じて、新型コロナウイルス関連情報を随時提供しております。全社を挙げて「今できること、すべきこと」を大切に、みなさまと共にこの状況を乗り越えてまいりたいと強く願っております。■ メディカ出版WEBサイト【新型コロナウイルス関連情報】公開・更新中です! ■メディカ インフェ速報[URL] https://www.medica.co.jp/m/infectioncontrol/news/ list/10008225新型コロナウイルス対策下での看護教育・授業実施の取り組みについて大手前大学 国際看護学部看護学科の場合2020年 2月 27日 日本、政府が全国すべての小中高校に臨時休校要請2020年 3月 12日 WHOが世界流行の状況を「パンデミック」と認定2020年 4月 3日 世界の感染者が100万人を超える2020年 4月 7日 日本、政府が緊急事態宣言を発令 ※7都府県対象・5月6日まで2020年 4月 16日 日本、政府が緊急事態宣言を全国に拡大 ※13都道府県は「特定警戒」に位置づけ2020年 4月 18日 日本、国内感染者が1万人を突破 ※横浜・クルーズ船を除く2020年 5月 4日 日本、政府による緊急事態宣言を5月31日まで延長決定2020年 5月 14日 日本、政府が緊急事態宣言を39県で解除、8都道府県は継続2020年 5月 21日 日本、政府が関西の緊急事態宣言を解除、首都圏と北海道は継続2020年 5月 25日 日本、政府が全国に緊急事態解除宣言を解除2020年 6月 28日 世界の感染者が1000万人を超える2020年 7月 18日 世界の新型コロナウイルスによる死者が60万人を超える2020年 7月 23日 日本、国内の1日の感染者が過去最多の981人情報誌ラポール授業支援ツールシラバス・授業計画案看護師国家試験出題対照表シラバスや授業計画案など日々の授業で使える内容から、国家試験対策や関連の最新情報まで網羅授業の質向上&業務負担軽減をサポートします!144

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