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19サンプルページアニメーション・動画36本収録!解剖生理学人体の構造と機能 ❶よって結腸の便を下方に押しやったり,便が下方に突出するように肛門の上方で骨盤床を外下方に引き下げたりと,排便を促すほかの動作を同時に行っている. しかし,排便に不適当な場面で便意を感じたとき,私たちは,外肛門括約筋の収縮をさらに強めることができる.これが数分間続くと排便反射は消えてしまい,排便が行われない. 歯の萌出は生後6~8カ月ごろから始まる.乳歯は2歳半~3歳で生えそろい,永久歯は12~13歳ごろまでに生える.高齢者には歯を喪失する者が多いが,不十分な歯のメンテナンスが原因である.老化によって唾液腺細胞の萎縮や脂肪組織への置換などが原因となり,唾液の分泌量が減少する.唾液量の減少は口腔内の乾燥を招き,味覚も低下させる.咀嚼筋も老化に伴う萎縮をきたすが,咬こう合ごう力の大きな低下にはならない. 食道・胃・小腸・大腸は,出生後から徐々に成長する.食道は,老化によって組織萎縮や壁内神経叢の機能低下などをきたし,蠕動運動が低下する.また,一過性の下部食道括約筋の弛緩により,胃液の逆流が生じやすい.胃の形状は,新生児期は球形状で,2~3歳で釣鐘状,10~12歳で成人特有の形へと変化する.老化によって胃酸の分泌量の減少や濃度の低下などをきたし,胃の消化能力は低下する.胃粘膜の萎縮は,老化のみでは起こらない.新生児の小腸は1.5~2mであるが,成人までに6~7mに成長する.小腸は老化によって絨毛の短縮や粘膜下層の線維化などが起こり, 7消化器系の成長と老化胃・結腸反射大蠕動腸内容物がS状結腸から直腸へ直腸壁伸展・直腸内圧上昇脊髄反射直腸内反射内肛門括約筋の弛緩外肛門括約筋の弛緩便 意大 脳排便行動腹圧上昇排 便排便行動便 意橋排便反射中枢脊髄排便反射中枢第2~4仙髄骨盤神経(遠心路)大脳骨盤神経(求心路)直腸の内圧が上がる陰部神経直腸肛門挙筋外肛門括約筋内肛門括約筋便図7-27●排便の機序192成長・発達・老化を押さえ疾病の理解を促進運動能低下と消化吸収能の軽度低下をきたす.大腸は,老化によって固有筋層・結合組織の萎縮が原因となり,運動能が低下する.また,便意の感受性や排便反射,排便時に必要な筋力の低下,腸内細菌叢の変化などにより便秘になりやすい. 肝臓は,老化によって肝細胞数の減少や代謝能の低下をきたし,アルブミン産生や一部の胆道系酵素の活性なども影響を受ける.胆嚢は,容積の拡大や収縮能低下などをきたす.膵臓は,重量の低下や萎縮,膵管の拡張などをきたす.老化による肝臓・胆嚢・膵臓の形態学的加齢変化がみられるが,機能的変化は,通常,大きな問題とならない.臨床場面とのつながり1.以下の事例では咀嚼と嚥下の障害が起こる.どのような障害か. 事例1:口蓋裂のある乳児 事例2:舌の1/3を切除された舌癌の患者 事例3:右片麻痺を伴う脳梗塞の患者 事例4:食道癌の患者 事例5:食道アカラシアの患者2.胃を切除した患者は,1回に摂取する食事の量を少なくする必要がある.なぜか.3.黄疸のある患者では,尿と便の色を観察することが大切である.どのような変化が認められるのか,また,なぜ変化するのか.4.胆囊結石症患者が脂肪を多く含む食品を摂取した後,強い腹痛を訴えた.なぜか.5.脊髄損傷の患者は便秘になりやすい.なぜか.6食欲,レプチン口腔,舌,唾液腺歯,乳歯,永久歯咀嚼,咀嚼筋咽頭食道嚥下消化胃,噴門,幽門,胃底腺,幽門腺,胃液,蠕動運動十二指腸,空腸,回腸,大十二指腸乳頭,絨毛,微絨毛,腸陰窩,腸腺,十二指腸腺,腸液肝臓,肝小葉,胆汁,胆汁酸塩,ビリルビン胆囊,胆囊管,総肝管,総胆管膵臓,膵管,膵液吸収ショ糖(スクロース),乳糖(ラクトース),デンプン,中性脂肪(トリグリセリド),ミセル,アミノ酸大腸,盲腸,結腸,直腸排便反射重要用語食欲の調節機構を述べることができる.唾液の成分と機能を説明できる.歯の構造を述べ,乳歯と永久歯の名称を挙げることができる.学習達成チェック7消化器系●食物を摂取して消化・吸収し排泄するしくみ運動能低下と消化吸収能の軽度低下をきたす.大腸は,老化によって固有筋層・結合組織の萎縮が原因となり,運動能が低下する.また,便意の感受性や排便反射,排便時に必要な筋力の低下,腸内細菌叢の変化などにより便秘になりやすい. 肝臓は,老化によって肝細胞数の減少や代謝能の低下をきたし,アルブミン産生や一部の胆道系酵素の活性なども影響を受ける.胆嚢は,容積の拡大や収縮能低下などをきたす.膵臓は,重量の低下や萎縮,膵管の拡張などをきたす.老化による肝臓・胆嚢・膵臓の形態学的加齢変化がみられるが,機能的変化は,通常,大きな問題とならない.臨床場面とのつながり1.以下の事例では咀嚼と嚥下の障害が起こる.どのような障害か. 事例1:口蓋裂のある乳児 事例2:舌の1/3を切除された舌癌の患者 事例3:右片麻痺を伴う脳梗塞の患者 事例4:食道癌の患者 事例5:食道アカラシアの患者2.胃を切除した患者は,1回に摂取する食事の量を少なくする必要がある.なぜか.3.黄疸のある患者では,尿と便の色を観察することが大切である.どのような変化が認められるのか,また,なぜ変化するのか.4.胆囊結石症患者が脂肪を多く含む食品を摂取した後,強い腹痛を訴えた.なぜか.5.脊髄損傷の患者は便秘になりやすい.なぜか.6食欲,レプチン口腔,舌,唾液腺歯,乳歯,永久歯咀嚼,咀嚼筋咽頭食道嚥下消化胃,噴門,幽門,胃底腺,幽門腺,胃液,蠕動運動十二指腸,空腸,回腸,大十二指腸乳頭,絨毛,微絨毛,腸陰窩,腸腺,十二指腸腺,腸液肝臓,肝小葉,胆汁,胆汁酸塩,ビリルビン胆囊,胆囊管,総肝管,総胆管膵臓,膵管,膵液吸収ショ糖(スクロース),乳糖(ラクトース),デンプン,中性脂肪(トリグリセリド),ミセル,アミノ酸大腸,盲腸,結腸,直腸排便反射重要用語食欲の調節機構を述べることができる.唾液の成分と機能を説明できる.歯の構造を述べ,乳歯と永久歯の名称を挙げることができる.嚥下の機構を述べることができる.胃,小腸,大腸の構造名を挙げることができる.消化管や付属腺から分泌される消化酵素の名称と,各々が作用する物質を説明することができる.学習達成チェック1937消化器系●食物を摂取して消化・吸収し排泄するしくみ※視聴方法は16ページをご覧くださいp.176p.193 十二指腸に腸間膜はないが,空腸と回腸は腸間膜によって後腹壁に吊つり下げられている.腸間膜が後腹壁に固定されている根元のほうは15~18cm程度の幅であるが,扇形に広がる辺縁では4mもの長さになっており,この辺縁に空腸と回腸がつながっている.腸間膜は腹壁から離れて存在する腹部臓器と腹壁との間の膜である.2枚の漿膜が合わさっており,中には脂肪,その臓器に分布する神経,血管,リンパ管などを含む.狭義の腸間膜は小腸間膜を意味する.(2)小腸壁 小腸壁は,胃壁と同様に,内側から粘膜,粘膜下組織,筋層,漿膜で構成されている. 小腸粘膜は,輪状ヒダをもち,粘膜の表面には一面に絨じゅう毛もうがある.さらに絨毛の上皮細胞には無数の微絨毛があるため,小腸粘膜の表面積は著しく広いものとなる.輪状ヒダは粘膜と粘膜下組織が盛り上がることによって生じ,腸管腔内に1cmほど突出する. 絨毛は上皮層と粘膜固有層からできており,高さ0.5~ 1.2 mm,厚さ約0.1mmで,指状に突出している.絨毛は1mm 2に約40本あり,ビロード状の外観をもつ.絨毛と絨毛の間には,腸ちょう陰いん窩かと呼ばれる小穴があり,内部にある腸腺から粘液を分泌する.バクテリアル トランスロケーション長期間の絶食や,ショックによる腸管の虚血などの場合,腸管粘膜の萎縮が起こり,生体の防御機能が維持できなくなり,菌血症を引き起こすことがある.これをバクテリアルトランスロケーション(bacterial trans-location:細菌転置)という.図7-14●小腸胃輪状ヒダ総肝管胆囊管胆囊総胆管虫垂回盲弁大腸盲腸小十二指腸乳頭大十二指腸乳頭副膵管膵管上部(第1部)幽門絨毛微絨毛空腸腸陰窩(腸腺)動脈回腸下行部(第2部)水平部(第3部)上行部(第4部)トライツ靱帯十二指腸絨毛静脈リンパ管小腸の運動分節運動,振子運動,蠕動運動がある.●小腸の構造〈アニメーション〉176 十二指腸に腸間膜はないが,空腸と回腸は腸間膜によって後腹壁に吊つり下げられている.腸間膜が後腹壁に固定されている根元のほうは15~18cm程度の幅であるが,扇形に広がる辺縁では4mもの長さになっており,この辺縁に空腸と回腸がつながっている.腸間膜は腹壁から離れて存在する腹部臓器と腹壁との間の膜である.2枚の漿膜が合わさっており,中には脂肪,その臓器に分布する神経,血管,リンパ管などを含む.狭義の腸間膜は小腸間膜を意味する.(2)小腸壁 小腸壁は,胃壁と同様に,内側から粘膜,粘膜下組織,筋層,漿膜で構成されている. 小腸粘膜は,輪状ヒダをもち,粘膜の表面には一面に絨じゅう毛もうがある.さらに絨毛の上皮細胞には無数の微絨毛があるため,小腸粘膜の表面積は著しく広いものとなる.輪状ヒダは粘膜と粘膜下組織が盛り上がることによって生じ,腸管腔内に1cmほど突出する. 絨毛は上皮層と粘膜固有層からできており,高さ0.5~ 1.2 mm,厚さ約0.1mmで,指状に突出している.絨毛は1mm 2に約40本あり,ビロード状の外観をもつ.絨毛と絨毛の間には,腸ちょう陰いん窩かと呼ばれる小穴があり,内部にある腸腺から粘液を分泌する.バクテリアル トランスロケーション長期間の絶食や,ショックによる腸管の虚血などの場合,腸管粘膜の萎縮が起こり,生体の防御機能が維持できなくなり,菌血症を引き起こすことがある.これをバクテリアルトランスロケーション(bacterial trans-location:細菌転置)という.図7-14●小腸胃輪状ヒダ総肝管胆囊管胆囊総胆管虫垂回盲弁大腸盲腸小十二指腸乳頭大十二指腸乳頭副膵管膵管上部(第1部)幽門絨毛微絨毛空腸腸陰窩(腸腺)動脈回腸下行部(第2部)水平部(第3部)上行部(第4部)トライツ靱帯十二指腸絨毛静脈リンパ管小腸の運動分節運動,振子運動,蠕動運動がある.●小腸の構造〈アニメーション〉解剖図がよりリアルにかざして見る!運動能低下と消化吸収能の軽度低下をきたす.大腸は,老化によって固有筋層・結合組織の萎縮が原因となり,運動能が低下する.また,便意の感受性や排便反射,排便時に必要な筋力の低下,腸内細菌叢の変化などにより便秘になりやすい. 肝臓は,老化によって肝細胞数の減少や代謝能の低下をきたし,アルブミン産生や一部の胆道系酵素の活性なども影響を受ける.胆嚢は,容積の拡大や収縮能低下などをきたす.膵臓は,重量の低下や萎縮,膵管の拡張などをきたす.老化による肝臓・胆嚢・膵臓の形態学的加齢変化がみられるが,機能的変化は,通常,大きな問題とならない.臨床場面とのつながり1.以下の事例では咀嚼と嚥下の障害が起こる.どのような障害か. 事例1:口蓋裂のある乳児 事例2:舌の1/3を切除された舌癌の患者 事例3:右片麻痺を伴う脳梗塞の患者 事例4:食道癌の患者 事例5:食道アカラシアの患者2.胃を切除した患者は,1回に摂取する食事の量を少なくする必要がある.なぜか.3.黄疸のある患者では,尿と便の色を観察することが大切である.どのような変化が認められるのか,また,なぜ変化するのか.4.胆囊結石症患者が脂肪を多く含む食品を摂取した後,強い腹痛を訴えた.なぜか.5.脊髄損傷の患者は便秘になりやすい.なぜか.6食欲,レプチン口腔,舌,唾液腺歯,乳歯,永久歯咀嚼,咀嚼筋咽頭食道嚥下消化胃,噴門,幽門,胃底腺,幽門腺,胃液,蠕動運動十二指腸,空腸,回腸,大十二指腸乳頭,絨毛,微絨毛,腸陰窩,腸腺,十二指腸腺,腸液肝臓,肝小葉,胆汁,胆汁酸塩,ビリルビン胆囊,胆囊管,総肝管,総胆管膵臓,膵管,膵液吸収ショ糖(スクロース),乳糖(ース),デンプン,中性脂肪(リセリド),ミセル,アミノ酸大腸,盲腸,結腸,直腸排便反射重要用語食欲の調節機構を述べることができる.唾液の成分と機能を説明できる.歯の構造を述べ,乳歯と永久歯の名称を挙げることができる.学習達成チェック復習に活用できる運動能低下と消化吸収能の軽度低下をきたす.大腸は,老化によって固有組織の萎縮が原因となり,運動能が低下する.また,便意の感受性や排便時に必要な筋力の低下,腸内細菌叢の変化などにより便秘になりやすい. 肝臓は,老化によって肝細胞数の減少や代謝能の低下をきたし,アルブ一部の胆道系酵素の活性なども影響を受ける.胆嚢は,容積の拡大や収縮をきたす.膵臓は,重量の低下や萎縮,膵管の拡張などをきたす.老化に胆嚢・膵臓の形態学的加齢変化がみられるが,機能的変化は,通常,大きらない.臨床場面とのつながり1.以下の事例では咀嚼と嚥下の障害が起こる.どのような障害か. 事例1:口蓋裂のある乳児 事例2:舌の1/3を切除された舌癌の患者 事例3:右片麻痺を伴う脳梗塞の患者 事例4:食道癌の患者 事例5:食道アカラシアの患者2.胃を切除した患者は,1回に摂取する食事の量を少なくする必要がある.な3.黄疸のある患者では,尿と便の色を観察することが大切である.どのようられるのか,また,なぜ変化するのか.4.胆囊結石症患者が脂肪を多く含む食品を摂取した後,強い腹痛を訴えた.な5.脊髄損傷の患者は便秘になりやすい.なぜか.6食欲,レプチン口腔,舌,唾液腺歯,乳歯,永久歯胃,噴門,幽門,胃底腺,幽門腺,液,蠕動運動十二指腸,空腸,回腸,大十二指腸重要用語臨床への応用がわかる

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