nursingraphicus2021
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29サンプルページアニメーション・動画 食事摂取基準(Dietary Reference Intakes:DRIs)は,健康な個人および集団を対象として,国民の健康の保持・増進,生活習慣病の予防のために参照するエネルギーおよび栄養素の摂取量の基準を示すものである.人口構成や生活環境,食生活の変化に対応するため,5年ごとに改定され,2020年版の使用期間は,2020(令和2)年度から2024(令和6)年度までの5年間である.策定の方向性を図2.2-1に示す. 食事摂取基準の対象は,健康な個人および健康な者を中心として構成されている集団とし,生活習慣病等に関する危険因子を有していたり,また,高齢者においてはフレイルに関する危険因子を有していても,おおむね自立した日常生活を営んでいる者およびこのような者を中心として構成されている集団は含めるものとする. 科学的根拠に基づく策定を行うことを基本とし,現時点で根拠は十分ではないが,重要な課題については,研究課題の整理も行うこととした.(1)エネルギーの指標 エネルギー必要量を推定するための測定法は二つに大別されるが,エネルギー摂取2日本人の食事摂取基準(2020年版)生活習慣病食事,運動,休養,飲酒,喫煙などの生活習慣によって発症する疾患の総称.高血圧症,糖尿病,脂質異常症(高脂血症),悪性新生物,心疾患,脳血管疾患など.1策定方針2指 標フレイル老化に伴う種々の機能低下(予備能力の低下)を基盤とし,さまざまな健康障害(ADL障害,要介護状態,疾病発症,入院や生命予後など)に対する脆弱性が増加している状態,すなわち健康障害に陥りやすい状態を指す.コマのイラストにより1日分の食事を表現.食事のバランスが悪いとコマが倒れてしまうことを表している.厚生労働省・農林水産省 Webサイトより.1日に必要なエネルギーと食事量の目安バランスの悪い例(主食と副菜が欠けて,主菜が多すぎる例)エネルギー(kcal)1400~20004~5つ5~7つ6~8つ5~6つ5~6つ6~7つ3~4つ3~5つ4~6つ2つ2つ2~3つ2つ2つ2~3つ2200±2002400~300主食副菜主菜牛乳・乳製品果物男子6~9歳6~11歳10~11歳12~17歳12~17歳女子単位:つ(SV:servng)※身体活動量※ふつう以上※低い※ふつう以上※低い図3.3-1●食事バランスガイド推定エネルギー必要量(kcal/日)たんぱく質推奨量(g/日)脂質目標量(%エネルギー)カルシウム推奨量(mg/日)鉄推奨量(mg/日)性 別男 子女 子身体活動レベルⅠ(低い)Ⅱ(ふつう)Ⅲ(高い)Ⅰ(低い)Ⅱ(ふつう)Ⅲ(高い)男子女子男 女男子女子男子女子6~7(歳)1,3501,5501,7501,2501,4501,650303020~30*16005505.55.58~9(歳)1,6001,8502,1001,5001,7001,90040406507507.07.510~11(歳)1,9502,2502,5001,8502,1002,35045507007508.58.5(12.0)*2*1 必要なエネルギー量を確保した上でのバランスとする.範囲はおおむねの値を示したもので,弾力的に運用すること.*2 (  )内は月経ありの場合厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2015年版).表3.3-7●学童期の食事摂取基準1062019/10/1 再校12本収録!臨床栄養学疾病の成り立ち ❹最新の情報を掲載p.64p.143※視聴方法は16ページをご覧くださいろみの程度は,表4.3-4に示す「中間のとろみ」あるいは「濃いとろみ」が適している. 状態が回復してくれば,徐々にコード0からコード1→コード2→コード3→コード4へと食事形態を進める(摂食嚥下リハビリテーションにもつながる).嚥下障害が改善するとともに,経口摂取できる量も改善する(摂取量もピラミッド型になる)場合が一般的であり,コード4では栄養給与目標が100%充足されることが望ましい(図4.3-3). 一方,加齢や認知症,筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病など進行性の病態では,コード4からコード3→2→1と後退する方向で,食形態を選択していくことになる.また神経性食思不振症など病個人の栄養給与目標量432-22-11j0j0tはしやスプーンで切れる舌で押しつぶせるペースト(粒あり)ペースト(粒なし)プリン,ゼリーj:ゼリーt:とろみ図4.3-3●栄養給与目標量と嚥下調整食のイメージ●摂食困難なときの食事〈動画〉表4.3-4●学会分類2013(とろみ)早見表段階1薄いとろみ段階2中間のとろみ段階3濃いとろみ英語表記Mildly thickModerately thickExtremelythick性 状(飲んだとき)・drinkという表現が適切なとろみの程度・口に入れると液体の種類・味や温度によってはとろみがあまり気にならない場合もある・飲み込む際に大きな力を要しない・ストローで容易に吸える・明らかにとろみがあることを感じ,かつdrinkという表現が適切なとろみの程度・口腔内での動態はゆっくりで,すぐには広がらない・舌の上でまとめやすい・ストローで吸うのは抵抗がある・明らかにとろみが付いていて,まとまりがよい・送り込むのに力が必要・(スプーンで)eatという表現が適切なとろみの程度・ストローで吸うことは困難性 状(見たとき)・スプーンを傾けると,すっと流れ落ちる・フォークの歯の間から素早く流れ落ちる・カップを傾け,流れ出たあとには,うっすらと跡が残る程度の付着・スプーンを傾けると,とろとろと流れる・フォークの歯の間からゆっくりと流れ落ちる・カップを傾けて流れ出たあとには,全体にコーティングしたように付着・スプーンを傾けても形状がある程度保たれ,流れにくい・フォークの歯の間から流れ出ない・カップを傾けても流れ出ない(ゆっくり塊となって落ちる)粘度(mPa・s)*150~150150~300300~500LST値(mm)*236~4332~3630~32学会分類2013(とろみ)早見表より,一部改変.*1 コーンプレート型回転粘度計を用い,測定温度20℃,ずり速度50s-1における1分後の粘度測定結果*2  ラインスプレッドテスト用プラスチック測定板を用いて内径30mmの金属製リングに試料を20mL注入し,30秒後にリングを持ち上げ,30秒後に試料の広がり距離を6点測定した平均値*3  本表の使用にあたっては「嚥下調整食学会分類2013」の本文を熟読のこと.http://www.jsdr.or.jp/doc/doc_manual1.html,(参照2019-8-19).1514療養生活と栄養2019/9/19 再校データを食育に生かすかざして見る!

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