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31サンプルページアニメーション・動画17本収録!呼吸機能障害/循環機能障害健康の回復と看護 ❶※視聴方法は16ページをご覧ください学習ポイント●狭心症の患者の事例をもとにアセスメント,看護計画の立案,看護の実際,看護の評価までの一連の流れを学ぶ.●事例の振り返りを行う.●基礎的情報●入院時の状態 搬送時のAさんのバイタルサインは,体温37.0℃,血圧140/94mmHg,心拍数104回/分,呼吸数20回/分,SpO292%であった.胸痛は消失しており,心電図変化も1狭心症患者の看護【事例】1事例紹介氏 名:Aさん年 齢:56歳性 別:男性職 業:会社取締役常務家族構成:妻(54歳,主婦),長女(21歳,大学生),次女(17歳,高校生)現病歴:3カ月前より階段を上るときに胸を締め付けられるような感じがあったが,5分程度休むと治まっていた.○○年2月10日21時ごろ,入浴後の晩酌時にその症状が現れた.5分程度休んでいたが,治まらなかったため救急車を呼び,心電図変化(V1~V4ST低下)をもとに硝酸薬を舌下投与して治まり,CCUに救急搬送された.既往歴:48歳の健康診断時に高血圧を指摘されたが,病院には行っていない.嗜 好:喫煙:20本/日,飲酒:ビール中びん2本/日運動習慣:特になしCCSの狭心症 重症度分類カナダ心臓血管協会(Canadian Cardiovascular Society,Cir-culation:CCS)による狭心症の重症度を4段階に分類した指標.日常生活でできる範囲や寒暖環境,歩行距離や速さを評価基準とし,Ⅰ~Ⅳ段階で分類した.非ST上昇型ACSの リスク分類事例学習で臨床実践能力を養う学習ポイント●循環器の構造と機能について理解する.●循環機能障害の分類について理解する.●心不全について理解する. 循環器系は血液,心臓,血管,リンパ系で構成されている.このうち本節では心臓と血管について述べる.(1)心臓の構造と機能 心臓は横隔膜の上にあり,左右の肺に囲まれた縦隔内に位置している.成人男性では握りこぶし大で,重さは約250~300gである. 心臓壁は外側から心外膜,心筋層,心内膜の3層から成る.心外膜は,大血管の起始部で反転した二重の膜になっており,線維性心膜と漿膜性心膜で構成される.さらに漿膜性心膜は二層からなり,外側が壁側心膜,内側の心筋側の膜が臓側心膜で,その間が心膜腔である.心膜から漿液が心膜腔に分泌され,心収縮の動きを滑らかにしている(図6.1-1). 心臓内は左右の心房と心室から成り,左右を隔てる壁を中隔という.心房と心室の間,心室と血管の間には弁がそれぞれ存在し,血液の逆流を防いでいる(図6.1-2). 心臓は心筋が収縮弛緩を繰り返すことによって,全身に血液を送り出す働きがある.心筋の中には外からの刺激がなくても自動的に興奮し収縮することができる筋が存在し,これらで構成されている部位を刺激伝導系という(図6.1-3).特に右心房の上大静脈開口部辺りにある洞房結節(洞結節)は「心臓の歩調取り(ペースメーカー)」1循環機能とその障害1循環器と循環機能固有心筋と特殊心筋心筋は固有心筋と特殊心筋から構成されている.このうち,刺激伝導系を構成しているのが特殊心筋で,それ以外が固有心筋である.刺激伝導系刺激伝導系には洞房結節,房室結節,ヒス束,左脚と右脚,プルキンエ線維があるが,洞房結節以外の部位での自動能は<40回/分程度しかなく,通常は洞房結節の興奮がそのまま心拍数となっている.リンク解剖生理学 5章図6.1-1●心臓壁と被膜反転部位線維性心膜心内膜横隔膜心筋層(臓側心膜)心膜腔(壁側心膜)心臓は筋肉でつくられており,内面を心内膜が内張りし,外側を心外膜が包んでいる.漿膜性心膜心外膜(心囊)図6.1-2●心臓の構造上大静脈腕頭動脈大動脈弓左鎖骨下動脈左総頸動脈左肺動脈左心室左心房僧帽弁大動脈弁下大静脈右心室右心房右肺静脈右肺動脈左肺静脈三尖弁肺動脈弁136人体の構造と機能を復習p.12p.136p.222● 酸素をを取り入れて二二酸化炭素を排出出するしくみ呼吸器系 ● 酸素を取り入れて二酸化炭素を排出するしくみヒトは空気の21%を占める酸素を利用して生きている.酸素(02) がなくては生肺の中に到達し,酸素は肺胞から血液に取り込まれて体のすみずみに届けられる(CO2)は肺から排出される.このプロセスを「呼吸」と呼ぶ.酸素や二酸化炭素吸器系と密接な関係にある.呼吸器系は,また,二酸化炭素を排出することで血液さらに,鼻腔にはにおいの感覚器官,喉頭には発声器官があり,嗅覚や発声も呼吸 Ⓐ 声帯声帯発声器官咽頭鼻腔口腔舌口唇歯肺横隔膜 Ⓓ上区支・舌支 Ⓒ気管分岐部 Ⓐ声帯 Ⓔ底幹甲状軟骨 Ⓑ 気管輪状軟骨気管膜様部 Ⓒ 気管分岐部右主気管支左主気管支気管分岐部気管膜様部舌支 Ⓑ気管上区支いんとう終末細気管支写真提供:筑波大学水戸地域医療教育センター呼吸器内科 佐藤浩昭教授上区支舌支肺動脈Ⓓ 上区支・舌支Ⓔ 底幹肺胞囊⬇図1 呼吸器系器官の全体像呼吸器系は,鼻・鼻腔・咽頭・喉頭・気管・主気管支,二つの肺,肺を覆っている胸膜,呼吸に必要な筋肉(横隔膜,肋間筋など)からなる.肺の中では空気は,主気管支から順に枝分かれした葉気管支,区域気管支,細気管支を通って,ガス交換の場である肺胞に到達する.こうとういんとう図2肺中にてと拡12かざして見る!動画と図で全体をイメージ

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