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45サンプルページアニメーション・動画7本収録!健康と社会・生活健康支援と社会保障 ❶ 2006(平成18)年,山中伸弥率いる京都大学の研究グループによって,マウスの線維芽細胞(皮膚細胞)から,iPS細胞が初めてつくられた.iPS細胞(人工多能性幹細胞;induced pluripotent stem cells)とは,ヒトの皮膚などの体細胞に,多能性誘導因子を導入し,培養することによって作成される,さまざまな組織や臓器の細胞に分化する能力(分化万能性;pluripotency)と,ほぼ無限に増殖する能力(分裂増殖を経てもそれを維持できる自己複製能)をもたせた多能性幹細胞のことである. 将来的にiPS細胞は,病気やけがなどによって失われた機能を回復させることを目的とした再生医療の場面に活用できると期待されている.例えば,事故等で脊髄を損傷し,神経が切断されてしまった場合,患者本人に由来するiPS細胞から神経細胞をつくり,患者に移植することによって運動機能を取り戻せたり,心筋梗塞の患者にiPS細胞からつくった心筋細胞を移植して心筋を再生させたり,肺や肝臓などの臓器をつくって患者に移植したりすることなどが考えられる(図9-4).2iPS細胞による再生医療と生命倫理図9-4●iPS細胞による再生医療のイメージ不妊治療目的の細胞へ分化させる移 植皮膚などの体細胞精 子iPS細胞3~4種類の遺伝子心筋細胞精細胞肝臓の細胞神経細胞1559生命倫理 茨城県の「笠間市スクエアステップ・リーダー会」は2010(平成22)年4月に笠間市高齢福祉課包括支援センターと筑波大学大蔵研究室の後援により住民自主組織として設立された.4年後にはサークル数21,会員508名,リーダー数は120名となっている.サークルを円滑に進行するために意識している点として以下に留意しているという.①リーダーも会員も平等であること②それぞれのペースを尊重すること③あわてない,あせらないこと④競争しない,比べないこと⑤体調は自己管理すること⑥水分をよくとること⑦常識,礼儀,感謝 進行メニューは参加者が飽きないような楽しい活動がテンポよく配置されており,一度参加した住民が多くリピートしている.この意識している点は,エルダーシップの要件を満たしている一例といえるだろう.ケスデータスィ● 笠間市スクエアステップ・リーダー会の活動41)諏訪茂樹.行動科学.保健医療行動科学事典.日本保健医療行動科学会監修.メヂカルフレンド社,1999,p.105-106.2)山田一朗編.序章:行動科学の歴史と看護とのかかわり.行動科学.医学書院,1994,p.7.3)前掲書2),p.95.14)Rogers,E.M.Diffusionofinnovations.TheFreePress,1983.15)前掲書8),p.52.16)Kotler,P.Marketingfornonprofitorganizations.NJ.:PrenticeHall,1975.引用・参考文献10科学からとらえた健康行動最新の医療情勢を反映※視聴方法は16ページをご覧くださいケーススタディで具体的に学べるp.155p.187p.75 家族は,最も身近な集団であり,また,個人が生きる上で基盤となる集団であるが,そのかたちは近年大きく様変わりしている.これまで言われたような,夫婦,親子は,依然として重要な絆きずなの一つであることには変わりないが,それと同時に,結婚しないパートナー同士や,血のつながらない親子を核とする家族も逸脱ではなくなってきている.要は,誰であれ,心通わせられる生活共同者が家族と考える傾向が高まり,結婚や血縁関係自体にはさほどこだわらなくなったというのが実情であろう.それゆえに,家族境界はライフコースに応じて流動的である. 21世紀,家族は,個人の尊厳を第一に,ゆるやかに連帯し,社会に統合されることになろう.「これこそが家族」というモデルが曖昧になる反面,自らがどのような選択をするかが問われるようになるはずである.児童虐待やドメスティック・バイオレンス,家族による高齢者虐待など,家族が個人にとって必ずしも無条件で安心・安全の居場所でなくなった今日だからこそ,個人一人ひとりの尊厳を守るという社会の基本的合意と,家族の絆をしっかり見据える心構えが必要になってきている. 少子高齢社会の進行の中では,一人ひとりが自立した個人であるという認識を前提に,情緒的安定とケアを中心とした家族機能が,外部システムから多くのサポートを得ながら強化されるようになると思われる.5家族のこれからドメスティック・バイオレンス家庭内での配偶者間および恋人間の暴力.DVと略す.2001(平成13)年には「DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)」が制定された.●ドメスティック・バイオレンス~医療機関でできること〈動画〉1)森岡清美ほか.新しい家族社会学.四訂版.培風館,1997.2)G.エルダーほか.ライフコース研究の方法:質的ならびに量的アプローチ.正岡寛司ほか訳.明石書店,2003.3)幼児期からの男女平等教育研究会.諸外国の乳幼児期からの男女平等についての教育施策に関する調査研究報告書.2001,p.42.4)岩上真珠.ライフコースとジェンダーで読む家族.第3版.有斐閣,2013.5)岩上真珠ほか編.ソーシャルワーカーのための社会学.有斐閣,2002.6)落合恵美子.21世紀家族へ.新版.有斐閣,1998.7)J.A.クローセン.ライフコースの社会学.新装版.佐藤慶幸ほか訳.早稲田大学出版部,2000.8)高島秀樹ほか.生活世界を旅する:ライフコースと現代社会.福村出版,1994.9)野々山久也ほか.家族社会学の分析視角:社会学的アプローチの応用と課題.ミネルヴァ書房,2001.10)正岡寛司ほか編.現代家族論.有斐閣,1988.11)宮本みち子,岩上真珠編.リスク社会のライフデザイン:変わりゆく家族をみすえて.放送大学教育振興会.2014.12)D.レビンソン.ライフサイクルの心理学・上下.南博訳.講談社,1992.13)内閣府.平成25年版男女共同参画白書.2013.14)内閣府.平成27年版男女共同参画白書.2015.15)内閣府.平成27年版高齢社会白書.2015.16)内閣府.平成27年版少子化社会対策白書.2015.17)国立社会保障・人口問題研究所.人口統計資料集.2014.引用・参考文献753家 族動画で理解を促進かざして見る!

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