nursingraphicus2021
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61サンプルページアニメーション・動画11本収録!臨床看護総論基礎看護学 ❺ Cさんのリハビリテーションは発症1日目から開始され,24時間はベッド上で行い,血圧が安定した発症2日目から離床を開始した.発症2日目,一般病棟へ転棟.その後は脳梗塞クリニカルパスに沿って治療が行われた.1週間は抗血栓療法・脳保護療法の点滴治療を受け,内服へと切り替わった.発症4日目からリハビリテーション室での訓練を行い,起き上がり自立,座位保持見守りとなるが,立位時は右側への体位の崩れがあった.車椅子移乗やトイレ移乗時に介助を要し,転倒などのリスクがあったため,セラピストと連携し介助方法の統一を図った. 2 病棟における日常生活動作再獲得のためのリハビリテーション □病院  □外来    □病棟    □救急治療室  □集中治療室  □手術室  □透析室    □内視鏡室  □放射線室  □リハビリテーション室□診療所  □施設  □在宅  □学校・職場  □その他●看護活動の場●□健康期  □急性期  □回復期  □慢性期  □終末期●患者の経過段階●●有する機能障害●✔✔✔□呼吸機能障害  □循環機能障害    □栄養代謝機能障害  □造血機能障害□免疫機能障害  □脳・神経機能障害  □感覚機能障害    □運動機能障害□内部環境調節機能障害  □性・生殖機能障害●治療方法●✔✔マトリックス図□薬物療法   □輸液療法  □手術療法   □創傷処置  □人工臓器・臓器移植□放射線治療  □精神療法  □救急蘇生法  □安静療法  □食事療法  □運動療法  □リハビリテーション療法   □緩和ケア   □スピリチュアルケア    □その他✔✔●ここで使う医療機器●○機器名:間欠的空気圧迫装置○使う目的:下肢静脈血栓の予防○ 看護師のみるべきポイント&注意点:  メーカーによって装着部位,圧迫圧,圧迫期間,圧迫回数が異なり,患者の状況に応じて選択する.使用中は圧迫部位の皮膚を定期的に観察し,皮膚潰瘍などの発生に注意する.80  医療の現場では,多種多様な医療専門職が連携し,協働して医療チームとして業務にあたる.従来は,医師が中心となってリーダーシップをとって医療チームを率いていた.しかし近年では,医療に従事する多種多様な職種がお互いに連携することで患者中心の医療を実現しようとする チーム医療 の理念が浸透しつつある.また,褥瘡対策や感染防止対策,口腔ケアなど,機能別に多職種が集まってチームを形成し,病棟などで直接診療にあたる医療チームを支援する活動が活発になっている (図3.6-1) .特に,医療チームを支援する部署横断的なチームに対して,診療報酬が手当てされる場合は,質保証のために専門職の研修や教育レベルの要件が求められることがある.したがって,専門看護師や認定看護師がこのようなチームで活動する機会が増えている. 多職種の協働が効果的に行われるために必要なこととして,① リーダーシップ ,② 志向性 の二つの観点から以下に説明する. 6 チーム医療の視点 1 多職種の連携と協働で必要なこと チーム医療 チーム医療とは,「医療に従事する多種多様なスタッフが,おのおのの高い専門性を前提に,目的と情報を共有し,業務を分担しつつも互いに連携,補完し合い,患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と一般的に理解されている.(厚生労働省.チーム医療の推進に関する検討会.チーム医療の推進について.厚生労働省,2010) 患者と家族緩和ケアチームNST(栄養サポートチーム)感染防止対策チーム呼吸管理チーム褥瘡対策チーム精神科リエゾンチーム退院調整チーム口腔ケアチーム医療安全対策チーム糖尿病チーム医療チームを支援する機能別のチーム直接診療・ケアにあたる医療チーム作業療法士管理栄養士薬剤師臨床検査技師診療放射線技師社会福祉士臨床工学技士介護福祉士歯科医師歯科衛生士看護師医 師理学療法士言語聴覚士図3.6-1●チーム医療のイメージ1533看護活動の視点臨床看護の実際が学べる事例を通して臨床看護全体をイメージ  人工臓器とは,失われた組織や臓器の機能を代行したり,補助する目的で作られた臓器を指す.人工臓器には,臓器の機能の全部を代行するものと一部を補助するもの,また使用する期間によって半永久的に使用するものと一時的に使用するもの,装置の形態として体内埋め込み型と体外設置型がある. 臓器移植とは,臓器の機能が著しく低下したために,移植以外の方法では治療のできない患者に対して,他者の臓器を移植することである.臓器移植の方法 (図3.4-1) には,生体移植と死体移植がある.生体移植は,生きているドナーから移植がなされることであり,死体移植(心停止移植・脳死移植)は亡くなったドナーから移植するものである. 人工臓器や臓器移植を必要とする患者への看護師の役割は次の通りである.① 患者が組織や臓器の機能を失ったことを受容できるように援助する.②治療法の選択においては患者の自己決定を尊重する. 5 人工臓器・臓器移植 ドライ・ドレッシング法主として,ガーゼを用いる方法である.安価で手に入りやすく使用方法も簡単であるため,従来はよく使用されてきたが,創面を乾燥させてしまうという短所がある.ウエット・ツー・ドライ・ドレッシング法滅菌ガーゼに生理食塩水を含ませ,それを創面に当てる方法である.創面に湿潤環境をつくり,壊死組織を除去する.1日数回の交換が必要である.フィルム・ドレッシング法半閉鎖式ドレッシング法で水蒸気を通過させるが,体液成分は通過させないフィルムドレッシング材を用いる方法である.創面の湿潤環境を保ちながら,外界からの細菌や異物の侵入を防ぐ管理方法である.ハイドロコロイド・ドレッシング法閉鎖型ドレッシング法であり,湿潤環境を維持することと外界からの細菌などの侵入を防ぐ目的は,半閉鎖式ドレッシング法と同じである.創面の乾燥を防ぎ,湿潤環境を保ち,創面から出てくる滲出液を吸収するというような,いくつもの働きを合わせもつハイドロコロイドドレッシング材を用いる方法である.パウチング法粘着皮膚保護剤のついた袋であるパウチを貼付する方法である.創傷からの滲出液が非常に多い場合や,瘻孔がある場合,排液量を正確に測定したい場合に用いる.表3.4-1●ドレッシング法の種類移 植死体移植生体移植提供できる臓器皮膚・骨髄腎臓・肝臓脳死移植心停止移植提供できる臓器心臓・肺・肝臓腎臓・膵臓小腸・眼球提供できる臓器腎臓・膵臓眼球図3.4-1●臓器移植の方法 人工臓器の例 人工心肺,人工弁,心臓ペースp.80p.134※視聴方法は16ページをご覧ください

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