nursingraphicus2021
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77サンプルページアニメーション・動画17本収録!高齢者看護の実践老年看護学 ❷の副作用を防止して,より治療効果を得るために必要な情報を主治医へ提供する.●ADLの低下が起こらないように,ケアや環境を工夫する● 急性期病院に入院した認知症高齢者には,本人に確認する前に,食事は看護師による全介助,膀胱留置カテーテルとおむつによる排泄,看護師による全身清拭が実施されることが多い.認知症高齢者の治療のプロセスではそのようなケアが必要となることも多いが,認知症高齢者の入院前の生活に関して得ていた情報を生かして,入院中でも食事や排泄,入浴,更衣などを自分の意思で行い,可能な限り自立していけるように,ケア方法やタイミングを工夫し,自立に向けて変化させていく.過剰な介助は,認知症高齢者の生活機能をすべて低下させてしまい,回復過程を阻害することに留意する. 日本の医療・介護制度の下では,認知症高齢者は急性期病院を退院した後,在宅や施設での療養生活において回復過程をたどることになる.退院後の回復過程を促進するために,入院中の日常生活動作の自律と自立を重要視する.図2-6●チームケアカンファレンスから導く看護の方向性看護の方向性•本来は礼儀正しい人だと思われるので,それを踏まえて看護師から誠実な態度でコミュニケーションを丁寧にとる•注意機能や理解力が低下していて,点滴のことが気になって仕方がないかもしれないので,安心して過ごせるように,点滴 の刺入部位を視野に入りにくい下肢にするなど,工夫が必要になる•疼痛の有無と程度,点滴刺入部を観察し,本人に疼痛があるようなら,創部痛か点滴漏れによる刺入部位の腫脹かを各勤務 帯で観察する•認知機能障害が急激に悪化した場合は,認知症高齢者にせん妄が発症したことが予測される.そのため,日常生活において 認知機能の悪化を意味する情報,治療薬,検査結果などに留意する看護師A:術後2日目で,創部痛があるので,看護師から触れられるのがいやなのかもしれません看護師B:これからも治療やケアを拒否すると思うので,早く退院してもらいたいです看護師C:私が今朝,訪室して目を合わせてあいさつすると,「どうもお世話になって.こんなことになって,すみません」と丁寧にあいさつしてくれました看護師D:認知症が悪化したのではないでしょうか.今よりもっと指示が入らなくなると思うので,安全を保つために,ミトンを使ったほうがよいと思います看護師E:私が「何か心配なことはありませんか?」と尋ねると,点滴を見ていました.気になって仕方がないのかもしれません.点滴は必要なので,本人の視野に入らない部位に刺し替えたほうがよいと思います認知症の人は痛みを表現するのが難しいのかも清拭や医療処置をやりにくくて困る.時間もかかって困る認知症が悪化して,点滴の自己抜去やベッドからの転落が起こったら困る注意機能や理解力が低下しているので,点滴のことが 気になって仕方がないのかな.ストレスに感じる環境によって,せん妄を発症するかもおーいなんなんだ!やめろ!元々は礼儀正しい人なのかもしれない集まった情報の中から事実に着目し,認知症高齢者が困っていることは何かを理解していく2352認知症・うつ病・せん妄の看護手 技評価基準①ティースプーン1杯(約4g)のプリンを舌背前部におき,嚥下を指示する.②嚥下後,反復嚥下を2回行わせる.嚥下後に口腔内を観察してプリンが残留しているかどうかを確認する.③評価基準が4点以上なら最大2回繰り返す.④最低点を評価する.1:嚥下なし,むせるand/or 呼吸切迫2:嚥下あり,呼吸切迫(不顕性誤嚥の疑い)3:嚥下あり,呼吸良好,むせるand/or 湿性嗄声,口腔内残留中等度4:嚥下あり,呼吸良好,むせない,口腔内残留ほぼなし5:4に加え,反復嚥下が30秒以内に2回可能ぜっぱい図1.1-10●フードテスト(FT)食道期食道通過・食後に曖気(げっぷ)やむせが見られないか・食べたものや胃液が逆流していないか(胃食道逆流の有無)・脳血管疾患,神経筋疾患,食道疾患(食道裂孔ヘルニア,アカラシアなど)はないか・左記の疾患や加齢などにより食道の蠕動不全が起こり,食道通過障害となる.胸のつかえや胸やけ,逆流感がある場合は専門医の受診を勧める・迷走神経〔食道の感覚神経覚)と運動神経〕とアウバッハ神経叢・食道下部括約筋の弛緩と収●示指で舌骨を,中指で甲状軟骨を触知した状態で空嚥下を指示し,30秒間に何回できるか観察する.●甲状軟骨が中指を乗り越えてしっかり挙上したときのみ1回と数える.●3回/30秒未満であれば,「嚥下障害の疑いあり」と判定する.方 法判 定図1.1-8●反復唾液嚥下テスト(RSST)手 技評価基準①冷水3mLを口腔底に注ぎ,嚥下を指示する.②嚥下後,反復嚥下を2回行わせる.③評価基準が4点以上なら最大2回繰り返す.④最低点を評価する.1:嚥下なし,むせる and/or 呼吸切迫2:嚥下あり,呼吸切迫3:嚥下あり,呼吸良好,むせる and/or 湿性嗄声4:嚥下あり,呼吸良好,むせない5:4に加え,反復嚥下が30秒以内に2回可能図1.1-9●改訂水飲みテスト(MWST)● 摂食嚥下障害のスクリーニングテスト〈動画〉   30豊富なイラスト・図で看護実践をイメージ※視聴方法は16ページをご覧ください ● 疾患・治療による日常生活への影響をアセスメントできる. ● 自立や安全を考慮して,アセスメントに基づいた日常生活の援助を計画立案し, 実施できる. ● 退院に向けた援助ができる.実習期間:○年○月○日~○月○日(2週間)実習グループ:3年次後期グループメンバーは4人①疾病の病態生理を理解する.②症状・検査・診断・治療・合併症を理解する.③退院に向けた生活支援を理解する.④社会資源について理解する. Aさんの情報をに,関連図をに示した.呼吸困難を評価する修正MRC息切れスケールをに示した. 1 事前学習 2 受け持ちケースの決定 3 情報収集とアセスメント 事 例 1 Aさん72歳,男性.慢性閉塞性肺疾患(COPD). 遊びに来ていた孫と一緒に動物園に出掛けた翌日に,38℃台の発熱と呼吸困難感が強くなり,病院を受診した.X線検査の結果,肺炎治療のため入院となる.抗菌薬が点滴投与され,酸素療法が行われた.3日目ごろから呼吸困難感が軽減し,5日目の朝から酸素療法が中止された.学生が受け持ったのは,入院5日目からである.5習実の護看者齢高学習目標 ● 慢性疾患をもつ高齢者とその家族を理解し,看護実践できる. ● 疾患・治療を理解できる. 2 慢性期看護実習 かざして見る!実習を想定した記述p.235p.332p.30

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